「税理士やめとけ」「税理士オワコン」
ネットでもよく見かけるワードです。
特に税理士を目指そうとしている人は気になりますよね。
もちろん、全てをそのまま鵜呑みにする必要はありませんが、税理士にもネガティブな点や厳しい側面があることは確かです。
事前に知っておいた方がよいことも少なくありません。
そこでこの記事では、税理士はやめとけ、と題して、その現実にズバリ迫ってみたいと思います。
税理士はやめとけと言われる理由

税理士試験に受からない
税理士試験はとても過酷です(ある意味、会計士試験より厳しいと思う)。
科目別合格制とはいえ、一科目ごとの負担が大きく、合格率も高くはありません。
しかも通常、仕事をしながらの受験となります。
結果として、
- 3科目の合格で止まってしまう
- 法人税が10年やっても受からない
など
周囲を見渡しても、勉強が惰性のようになってしまっている人もいるほどです。
結局、仕事も勉強も中途半場だったり、税理士資格自体を諦める、なんてことになるかもしれません。
給与が低い
一般に会計事務所の給与は高くないと言われます。
昇給だって限界があるでしょう。
顧客からの顧問料の中で、やりくりしなくてはなりませんし、事務所の経費もかかってくるからです。
特に今日では、その顧問料自体が(価格競争もあって)下がり気味です。
勤務先の会計事務所が扱っている顧客や案件にもよりますが、
顧問先を担当する場合、通常、その売り上げの3分の1(以下)が自分の取り分となってきます。
たとえば20社担当するとなると(平均年間顧問料80万とします)、
従業員の取り分は500万円ちょっと。
しかもここからの昇給はあまり望めないかもしれません。
大幅な昇給を望むなら、優良顧客を開拓してくることが求められたりします。
仕事が忙しすぎる
税理士業務は季節労働者などと言われたりします。
通常、確定申告の時期から年度末決算までの5月までが繁忙期となります。
年末調整の取りまとめの時期も同様です。
また忙しいのは、時期的な問題だけではありません。
特に記帳代行や給与計算などを中心に手掛ける事務所では、業務の生産性が低くなってきます。
こうしたルーティーン業務については顧客に指導していくべきなのですが、実際はそうなっていないところが多そうです。
結果、そうした会計事務所はまるで不夜城のごとく、夜の10時、11時まで明かりがついていたりします。
先のケースでいうと、20社分の記帳代行、給与計算となりますが、考えただけでもゾッとしますね。
事務所内での人間関係
会計事務所では黙々とデスクワークをする感じが強いかもしれません。
また、細かい数字を扱うため、神経質になってしまうこともあるでしょう。
そのため事務所の雰囲気が陰湿になってしまうところもあるくらいです。
でも、一番大変なのが、所長との相性。
これは、士業個人事務所では避けられないマターですが、ここが上手くいかないと大変です。
さらに注意したいのが、所長の奥様(お局様?)との関わり方。
この奥様が、事務所の経営や懐に介入してくることがあるのです(というより実質支配している?)。
内助の功であるうちはいいのですが、それを超えてくると色々とやりづらくなってきます(特に番頭さんは本当に気の毒だと思う)。
実務と試験勉強のギャップ
実務に先立って税理士試験の勉強をされていた人に多そうです。
確かに試験勉強で得た知識は、実務で役立ちますが、それはどちらかと言えばごく一部。
実務に際して、受験勉強の延長のスタンスでいると、結構大変な思いをしたりします。
例えば実務に就いて5年目なのに、勉強と実務のギャップに悩まされることも少なくありません。
顧客の問い合わせに対して、いつまで経っても自分で答えられない人もいます。
自分で率先して調べ、頭を働かせて処理していくことが求められるのですが、
この辺りは、各人の税理士としての資質にも関連してきます。
顧客とのトラブル
税理士は、中立な立場で税務業務に当たらなければならない一方、
商売をしている以上、顧客の要求や期待に応えていかなくてはなりません。
実はこうした税理士の立場が、時として大変な苦難を招来します。
つまり早い話が顧客とのトラブルです。
実務をやっている人はわかると思いますが、税務には人間のドロドロとした側面がつきものです。
普段は冷徹に物事を考えられる事業主でさえ、自分のカネや税金のことになると感情的になってしまうのです。
例えば、税額が昨年に比べ増えたりすると、直ぐに文句を言ってくる、なんて具合ですね。
また、中小零細企業の社長に多いのですが、各人の理屈や哲学(?)を税務にまで持ち込もうとします。
結果、税務判断や処理を巡り、税務署とではなく、顧客と衝突してしまうのです。
税務署と顧客との板挟みになってしまうこともあるでしょう。
さらに酷い場合は、税務調査の際に余計なことを口走ったり、中には怒り出したりする人もいたりします(なので、調査では社長の立ち合いは極力最小限にします)。
結局、こうした顧客との軋轢やトラブルは、会計事務所をも疲弊させてしまいます。
ブラック会計事務所の存在
会計事務所にもブラックな職場は存在します。
上で述べたこととも重なりますが、特に
- 給与が低い
- 仕事量と残業時間が異常
- 事務所内の人間関係が悪い
- 所長税理士がワンマン
- 指導・教育体制の欠如
といった点がブラック事務所の特徴です。
当然のことながら、このような事務所に勤務しようと思う人は少ないですし、
これらを経験した人からすれば「税理士はやめとけ」となっても不思議ではありません。


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開業税理士はつらいよ~顧客と税務署との狭間で~

ここでは具体的なトラブル事例を紹介します。
顧客とのトラブルってこんな感じです。
私がまだ学生のころ、私の実家の家業(特許事務所経営)で起こった出来事です。
具体的に言うと、
私(当時学生)が青色専従者となっており、その専従者給与が経費として落とされていたのです。
もちろん、それがマズいのは事業主(私の父)も分かっていたはずですが、
父は「事業主の俺がいいって言ってんだ。先生(税理士)は俺の言う通りやってくれればいいんだよ!」などと言っていました。
当然ながら、税務調査では指摘されることになります。
ところが父は(調査の場面では)「先生(税理士)が、OKしたから」と説明する一方、
当の税理士は調査官へ「私は何度も○○さん(私の父)にダメだって注意したんですけど…」などと弁解(?)していました。
結局、言った言わないの水掛け論になった挙句、怒り出した調査官に対して父は逆ギレ。
顧問税理士に対しても「税務署の用心棒として高い金を払ってきたのに、俺を守ってくれないアンタはクビだ!」などと吠えていました。
父に言わせてみれば、積もり積もった不満が怒りとなって爆発したとのことですが、
結局、高い代償を払わされたのは…
税理士会に入って分かったことですが、こんなことは氷山の一角に過ぎません。
税理士も因果な商売だなぁ、と思った次第です。
それでも税理士は素晴らしい職業!(ただし人によりけり)

やはり他人様のカネを扱うというのは大変シビアなことだと思います。
裏を返せば、顧客との間で信頼関係が築かれ、満足してもらえた時は、とてもやりがいを感じることができます。
それが報酬となって報われた時は尚更です。
他方、税務実務はもとより、おカネを巡る顧客とのコミュニケーションには、先の通り結構苦労させられるものです。
そこでは、中立的な立場にいながら、いかに顧客との信頼関係を築いていくか
税務の勉強と併せて税理士の永遠のテーマだと思います。
心が折れそうになるほど負担が重いけど、こんなに素晴らしい商売はない!
ある税理士さんがおっしゃった言葉です。
その通りなのですが、他方で(上で申し上げた通り)税理士各人の適性や資質が問われてくることも確かです。


税理士という職業を魅力的にするために
繰り返しになりますが、税理士は顧客をサポートするという、大変やりがいのある職業です。
私の父も、上記のような言動をとってしまったものの、本当は孤独な存在でした。
そんな孤独な経営者をサポートできるのは、身近には税理士しかいないのです。
また、税金や会計はつぶしがきくうえ、これらはどこへ行っても付いて回ります。
つまり、税理士は様々な分野で活躍できるということです。
そのため、税理士は転職に困ることはありませんし、独立にしても士業の中では最もハードルが低いと言えるでしょう。
しかも安定的に収入を得ることができます。
結局、そうしたことを実現するには、ご自身の適性や努力、そして自分を成長させてくれる職場やアドバイザーの存在がカギとなってきます。
言い換えれば、自己分析を的確に行い、自分に合った職場やキャリアパスを見つけ得ることができれば、
「税理士はやめとけ!」が「税理士はやめられない!」になっていくということです。
そこで、ぜひお勧めしたいのが転職エージェントの活用です。
あなたの適性からキャリアパスまで、様々な角度から支援してくれるはずです。
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最後に

どんな職業にも光と影はつきものです。
特に光が強いほど影は濃いと言えるでしょう。
そうした中で、今回は敢えて税理士の影の部分を強めに、光の部分は控えめにしてみました。
そのため税理士に対して悲観的なイメージを持たれた人もいるかもしれません。
他方、それでも自分は税理士でやっていく、という人は、是非ご自身で更なる光の部分を探してみてください。
ご活躍を期待しています。
