公認会計士は社会的地位が高く、また高収入であると言われています。
確かに外観的には花形職種に見えるし、そうした理由から目指す人も多いのが実情です。
私個人的には、そうした志望動機を否定するつもりはありませんが、他方で「こんなはずじゃなかった」と後悔する人も少なくありません。
そこでこの記事では、私の経験や周囲の会計士たちの反応からみた、「公認会計士になって後悔した瞬間ワースト3選」を紹介していきます。
これを読めば、会計士試験合格後、どんな試練が待ち構えているかわかるでしょう。
会計士になって大きく後悔することも避けられるはずです。
公認会計士になって後悔した瞬間①:仕事がつまらない

監査業務は創造性に乏しいということがよく言われます。
確かに既に出来上がっているものをチェックしたり、証拠を収集をしたりと、クリエイティブな側面は薄いと言わざるを得ません。
しかも現場でやっていることは基本的に毎年同じでルーティーン化しやすいところがあります。
その具体的な内容をいくつか挙げると
- 売掛金等の残高確認の発送と照合(差異事由も殆ど毎年同じようなもの)
- 毎年、クライアントに同じ資料をお願いする(目新しいものはなく作業は機械的になってくる)
- 有価証券報告書等、決算書類の表示チェック(誤字脱字のチェックや、句点を打つとか打たないとか)
今日ではどの法人も、監査マニュアルや監査指示書が整っているはずです。
それに従ってやればよいのですが、
実際にはクライアントに「これ(前年度の資料)と同じもの下さい」とお願いしたうえで、照合と整理に忙殺されることになります(クライアントも心得ており通常は用意しています)。
それこそ新人の頃は、PCの表計算上にて前年の監査調書の数字を変えていくだけ、なんてことにも。
とにかく作業量が多く、期限も厳しいので、じっくり考えたり、議論したりする余裕はありません(実務補修所だってありますしね)。
あっという間に書類の海に飲み込まれていくような感じでしょうか。
結局、何のために何をやっているのか、よく分からない。全体が見えない。
クライアントに感謝されることもあまりない。
金融庁に怒られないため?投資家に訴えられたとき、彼らの主張を封じるため?
勉強したことと実務のギャップに悩まされる日々が続きます。
ですがそれにもやがて慣れていき、いつの間にか、まぁいいかぁ、こんなもんかなぁ…なんて調子に
そして気づいたら3年が経ち、修了考査の日を迎えることになります。

公認会計士になって後悔した瞬間②:監査法人の裏事情

ここでは組織絡みのネガティブな現実として次の2点を挙げておきます。
- 監査法人にも社内政治はある
- パートナーまで昇進できるのはごく一部
監査法人に入所して現場作業に忙殺されている頃は、あまり感じないかもしれません。
ですが、ココを乗り越え実務に慣れてくるころ、更なる試練があるのを実感すると思います(独立するつもりならあまり関係ないですが)。
そう、組織特有の現実、社内政治というやつです。
根回しだの、うしろだでだの、権謀術数だの、っていうアレです。

公認会計士や監査法人に社内政治なんてあるのか!?
確かに風通しの良い組織では人間関係はドライになる傾向がありますが、それでも多かれ少なかれ組織体の中では社内政治はつきものです。
特に組織で働く以上、監査法人に限らず多くの人が(真剣に仕事に取り組めば取り組むほど)コレにエネルギーの多くを費やす(命をすり減らす?)ことになります。
ポスト的にはマネージャー昇進に近づくころから始まるのでしょうか。
現場でヒーコラ言ってたのを懐かしく感じるかもしれません。
一方、社内政治をマイナス要因に考えない、いわゆる‟やり手”という人たちがいることも確かです。
結局このぐらいでないと今はパートナーにはなれないのかもしれません。
そう、憧れの(?)パートナーにです。
昔は誰でもなれました(私の同期で法人に残った者は一人残らずパートナー!)。
でも(私たちのせいで)今は上がつかえているんですね。
マネージャークラスが限界と感じている人も多いのではないでしょうか。
であるとするならば、見切りは早く付けた方がよい。
ということで、入所10年ぐらい前までに(マネージャー昇進前後くらいまでに)多くの会計士が監査法人を後にします。


公認会計士になって後悔した瞬間③:クライアントから嫌われる?


以上の法人組織内のこととは別に、会計士を悩ませる厄介な事柄がもう一つあります。
これがまた結構ツライ!
早い話がクライアントとの関係です。
会計士は独立性を堅持して(クライアントから距離を置いて)職務に当たらなければならないのですが、一方クライアントから報酬を得ています。
なんとも違和感が拭えません。
クライアントの人々を目の前にして、ここでも
自分はいったい誰のために仕事をしているのだろう?
と疑問が湧いてきたりします。
確かに現実として感謝される場面はそれほど多くはなく、むしろ煙たがられたり、うざく思われたりすることの方が多いかもしれません。
しかも学校のテストのような唯一絶対の正解がない世界で、線を引いていかなくてはならないのです。
ここで会計処理やリスク等の見積・判断をめぐりクライアントと対立や衝突が起こります。
どちらも最後まで意見や考え方が平行線のままということもあります。
特に経営者の進退問題にまで発展しそうなマターで、クライアント側が「会計士さんのおっしゃる通りですね。わかりました。」などとなったケースを私は知りません。
通常は、いわゆる”落しどころ”を見つけるのですが、
それも難しいときは(表向きは任期満了というカタチで)互いの関係に幕を下ろすことも少なくないようです。



俺たち会計士は明日からどうやって食っていくんだ!?
こんな懸念がでてきても不思議はありませんね。
少なくとも、ルンペンやホームレスになるためにハードな会計士の勉強をしてきたわけではないのですから。
実録!クライアントと衝突するとこうなります


参考までに、遠い昔のことですが、私の体験談を一つお話したいと思います。
それはクライアントとの対峙の場面です。
覚えている限りその場を簡単に再現しますと…
当時私は、どうしても看過できない懸案事項を抱えていていました。
いろいろと調べても、考えても納得いきません。
おそらく今でしたら、調書に記録のうえ社内審査等を受けるのでしょうが、
考えるところもあって、敢えて懇意にしていただいてた筆頭パートナーに直訴してみました。
そのパートナーは、普段は温和な人ですが、やり取りの挙句、クライントに怒りを爆発させたのです。
その後の経理責任者の敵意と憎しみに満ちた一言は今でも時々思い出します。
「先生よ、今回だけは譲ってやる!(次はどうなるかわかっているな)」と。
そんな私にもパートナー昇進のオファーがありましたが、逆に監査を辞めました。
もったいないな、との周囲の声もありましたが、正直遅きに失したと思っています。
ちなみに先のクライアントですが、公表用決算資料によると、後に監査人を変えたらしい。
「結局、そういうことか」と奇妙に納得したものでした。


公認会計士は決して後悔ばかりではない
私が監査業務に携わっていた当時は、会計士資格のウマミというものをあまり実感しませんでした。
実は会計士資格の素晴らしさを本当に実感したのは、恥ずかしながら監査法人を辞した後でした。
その素晴らしさとは、会計士には無限の可能性がある、という点です。
あるいは、あらゆる分野で役立つ、ともいえるでしょう。
少々誇張し過ぎのような気もしますが、一例として、これまた私のケースを紹介します。
私は監査法人退所後、事情があって弁理士業(特許業界)に転身しましたが、
会計士資格のおかげで、その弁理士業に弾みがついてのです。
要するにダブルライセンスっていうやつです。
弁理士資格だけ持っていても、特許という狭い世界では、なかなかビジネスチャンスは訪れません。
視野も狭くなりがちです。
他方会計士は、本当にフィールドが広い。
会計士資格を持っていたおかげで、私は弁理士以外の広い世界で弁理士業の網を張り巡らすことができました。
やはり知財・特許といえども、ビジネスであり、それは結局は会社の収益性につながっていくものです。
そしてそれは会計や財務へと最終的には行き着きます。
逆に言えば、会計はどんな分野ともつながっているんですね。
それは単に収益的なつながりばかりではなく、人的なつながりも含めてです(平たく言えば営業面でも大いに役立つということです)。
公認会計士資格がなかったら、今の私はなかったと断言できるところです。




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最後に


「公認会計士になって後悔した瞬間ワースト3選」を紹介してきました。
ちょっと会計士のネガティブな面を出しすぎたかもしれませんが、
先ほど触れた通り、会計士には素晴らしいところもあります。
今回はそのポジティブな面は控えめにしていますが、更なるプラスの部分は皆さんご自身の目で確かめてみてほしいと思います。
あなただけの宝物が見つかるといいですね。
最後になりましたが、
公認会計士試験を受験される人につきましては合格を願っています。