あの難関の公認会計士試験に受かっても就職できない!
こんな衝撃的な話を聞いたことはありませんか。
実は就職難は過去もに氷河期のように幾度となく襲ってきました。
受験勉強を始めたときは、あれほど(合格者は)引く手あまただったのに…
そうなのです。
受験生の頃は就職状況は良くても、合格した途端、180度状況が一変した、なんてことがあり得るのです。
そんな中で湧いてくる疑問が
- 就職難の状況ってどんな感じ?
- 監査法人の内定を得るための対策は?
- 監査法人への就職がどうしても難しいときはどうする?
など。
そこでこの記事では「公認会計士に受かっても就職できない?」と題して、上記の問いに答えていきたいと思います。
試験のことで頭が一杯の人もいるかと思いますが、
事前の知識・備えの有無で就活の結果が全く変わってきますので、ぜひ参考にしてみてください。
略歴:特許事務所→公認会計士→監査法人・会計士事務所→弁理士→独立(会計事務所・特許事務所経営)
筆者は、最悪ともいえる就職難に突入した頃、合格を果たしました。
それこそ、絶望的な状況のもと、多くの合格者たちの悲痛な叫びが響き渡ていたのです。
他方、業界では、まるで手のひらを返したかのような振る舞いが目立ったのを覚えています。
そんな中、あぶれた人たちがどのように活路を見出していったか。
監査法人への就活方法から最悪の事態への対応策まで、完全網羅でお伝えしていきます。
公認会計士の現在の就職状況

近年、会計士試験の合格者数は1300~1400人ぐらいで推移しています(公認会計士・監査審査会「令和4年公認会計士試験の合格発表の概要について」)。
他方、大手監査法人を中心に、監査業界の求人は引き続き活発であり、低迷の兆しは見えません。
特に若手会計士は結構早期に法人を去っていくので、現場は人手不足になりがち、ということを耳にします。
今のところ(令和4年10月現在)、公認会計士の就職状況は比較的良好と言ってよいでしょう。
もし、この状況が未来永劫続くのであれば、記事はこれで終わりですが、
そうは問屋が卸さないのがこの業界。
なので、ここからが本題です。
公認会計士が就職できない事態とは

突然襲ってくる就職難の悲劇
バブル経済、という言葉をご存じでしょうか。
金が余ってしょうがない、そんな時代です(平成の一桁の前半です)。
当時は、とにかく会計士が足りない
大手事務所は金銭を使って青田買いをしていたほどです。
それが、バブル崩壊後、たった1年で状況が一変します。
わずか10~20名の募集のところに千人単位で求職が殺到したのです。
あれから歳月が経過し、内部統制監査が導入された頃でしょうか。
合格者数は大判振る舞い。
その需要もひと段落したころに、再びバブル崩壊時と同じような状況が降りかかります。
しかもリーマンショックが直撃です。
法人では事実上のリストラが…
こうした状況に対して、
お偉い人の中には「世の中、もっと苦しんでいる人たちがいるんですよ!」などと開き直った人がいたり、
ネット上でも(就職難民たちに対して)ざまーみろ、と言わんばかりに誹謗中傷の雨嵐が吹き荒れていたような気がします。
でももっと深刻なのは、実務要件が満たせないため、公認会計士資格を取得できないコト!
必ずしも監査実務ばかりではないのですが、その要件はハードルが低くはないのです(事前にクリアできる保証があるのは監査業務のみ)。
やっと試験に合格したと思ったら、突然こんな現実を突き付けられます。
あまり言いたくないのですが、
こうした状況が絶対再来しない、などという保証はありません!
就職難では学歴よりも年齢が重視される
就職難の中で重視されることって何だと思いますか。
それは若さです(特に現役の大学生)。
卒業まで給与を払わなくてよいこともその理由でしょう。
確かに、大手金融機関に勤めながら合格を果たした社会人の方もいて、そういう人は大手法人に就職できていました。
でもごく一部の例外的な人ですね。
とにかく、受験専念者を中心に(たとえ20代の若さでも)大手事務所に入るのは至難の業だったのです。
どこかの大手事務所のリクルート説明会だったと思いますが、
合格者に対して「25歳で無職って、君は正気か!」などと、リクルーターが言っていたのを聞いたことがあります(ちなみに、そのリクルート担当者は30歳近くまで親のスネをかじって受験勉強をしていたうえ、超売り手市場の時に合格した)。
会計士志望者の動向や業界の未来が心配になったものです。
なお、公認会計士と年齢の関係については、以下の記事にて詳述していますので、ぜひ参考にしてみてください。


就職難でも勝ち残る方法・対策
上では就職難では年齢がポイントとなる旨を指摘しました。
ただし、年齢は属性であり、結局は早めに合格する以外どうにもなりません。
そこで以下では、就職難でも勝ち残るための方策を、年齢以外の側面から解説していきます。
監査法人(求人側)の視点を知っておく
限りある枠の中で、内定を勝ち取るためには、採用する側に「この人とならぜひ仕事をしたい」とか「(他の人よりも)この人に入ってもらいたい」と思ってもらうことが大切です。
一見当たり前のように思えるのですが、案外軽視されがちです。
就職難となると、どうしても自分のことばかりに目が行き、採用する側の視点を忘れがちなのです。
特に就職難においては、入社も相対評価です。
「一生懸命、頑張ります」だけでは足りません。
そこでポイントとなるのが2点です。
- 差別化要因を求められる→得意分野や特技をもつ
- 人柄を見られる→コミュニケーション能力を磨く
まずは、どのように他者と異なるか、いかに自分の強みをアピールできるか、が肝心です(就職難での面接では結構聞かれます)。
言い換えると、得意分野や特技を持っておくこと。
公認会計士は活躍するフィールドがとても広いのですが、ある意味、広すぎるとも言えます。
他の専門職に比べ、ゼネラリスト的な要素が強いのです。
そんな中にあって、他者にはない、あるいは、他者よりも優れている技能等を有していることは、大変な強みとなってきます。
ただし、どんなに特技等をアピールできても、求職者の人柄が悪く伝わってしまうと、当然ながら採用には至りません。
でも、これではもったいない!
そこで、人柄や人間性をいかにうまく伝えるかが何より大切になります。
ただし性格や人間自体を変えろ、と言っているのではありません。
相手(採用者側)の立場をふまえ、適切にコミュニケーションをとっていければよいのです。
相手に好印象を与えられるように努めていくのです。
特に新卒の人(職歴のない人)はこの辺りを怠りがちだったり、準備不足だったりするの注意が必要です。
逆に言えば、しっかりと訓練なり準備すれば十分対応できるということです。
こうした点を踏まえて、具体的な対策を次に解説します。
具体的な就職対策
上では、求人側の視点として二つ(求職者の差別化要因・人柄)を挙げました。
では次にどのようなものがあるか見てみましょう。
いくつか例を挙げてみます。
- 英語力を磨く
- PC・IT技術を磨く
- その他、特技や得意分野をもつ・実績をアピールする
- 履歴書の書き方や面接対策をしっかりしておく
- 転職エージェントの活用(職歴のある人)
英語力とPC・IT関連は定番と言えるでしょう。
ここで大事なのは客観的な指標です。
英語力ならTOEICで800あればかなり有利と言えるでしょう(600ぐらいだとあまり強いアピールにはなりません)
PC・IT関連でしたら、パソコン検定から各種情報処理技術者試験までありますので、受けてみるのも一考です。
試験終了から就活時期まで2~3ケ月あります。
(試験結果が気になると思いますが)先々役立ちますので是非勉強しておくことをオススメします。
また職歴のある人はもちろんですが、特技でなくとも、何らかの実績があったらそれをアピールすることも大切です。
実社会では、資格(も大切ですが)よりも実績が重視される傾向にあります。
例えば、クラブ等の部長の経験ならリーダーシップの象徴と言えるでしょうし、前職がある方でしたら実際の現場経験をアピールできるはずです。
そして何より大事なのが、そうしたことをいかに伝えるか。
就職活動では書面(履歴書など)審査と面接がありますが、これらについての準備・対策をしていきます。
特に面接対策は、準備していたのとそうでないのとでは雲泥の違いがでてきます。
特に第三者からの意見やアドバイスは貴重なので、ぜひ専門学校等で行われている就活対策に参加してみてください。
筆者の体験談~差別化要因とコミュニケーションの大切さを痛感する~:
筆者は冒頭で述べた通り、合格時は大変な就職難でした。しかも新卒者より年齢面で不利な状況です(20代後半)。
ですが、前職(特許事務所勤務)があり、知財に精通していることをうまくアピールできたたため、約20倍の狭き門をなんとか通過できました。
「特許について分からないことがあればお役に立てます!」といった具合で、面接担当の方と良好なコミュニケーションがとれたことを覚えています。
就職できない状況に直面しても、会計士ならなんとかなる!

大手監査法人に入所できればそれがベストですが、必ずしもそううまくいくとは限りません。
実際に就職難に突入すれば、大半の人が無職になり得るのは先の通りです。
そこで、ここからは、最悪の事態も想定した、きわめて現実的な対策に踏み込んでいきます。
必ず状況は回復するので、前向きに何かしら取り組んでみる
(特に就職難の下では)社会は想像以上に合格者を評価しません。
むしろ辛辣な言葉が並ぶばかりです。
ですが結論としては、
試験に合格していれば、
そして本人が諦めなければ、
必ず道は開けてくる!
その一言に尽きます。
どんなに厳しい就職状況でも、だいたい2~3年で回復基調に戻ります。
しかもその頃は再び引く手あまたの状況になっているものです。
仮に30代に突入していても先ず問題ないといってよいでしょう。
ただし、何もしないで時期を待つより、何かを前向きにしていた方が良いのは確か。
その間、特に就業していれば、相当のプラスに評価されると思います。
例えば、税務や会計系のコンサルは(実務要件を満たさなくても)相当優遇されるのではないでしょうか。
もちろん実務でも生きてきます。
最終的な資格取得は1~2年遅れるかもしれませんが、CPAになってしまえば実務能力が全てです。
最悪の事態での具体的な就活
以下では、就職難の中での就活について解説します。
上でも述べた通り(必ず状況は回復するのですが)できるだけ経歴に空白期間をつくらないようにすべきです。
そこで大手監査法人がダメだった場合の就職先候補を挙げてみます(一例です)。
- 会計士受験予備校の講師
- 中小監査法人
- 個人の公認会計士事務所
- (監査法人系の)コンサルティング会社
- 民間企業の経理部署
会計士受験予備校の講師
意外とお勧めです。
1~2年ほど会計学や監査論を、お世話になった予備校で教えるのです。
大手監査法人に就職する予備校講師OBも多く、その人たちとのコネクションを持つことができます。
もちろん絶対の保証などありませんが、就職難の時でもこのルートを利用して大手監査法人に行った人が少なくありません。
中小監査法人(ただし非常勤は注意のこと)
中小でも監査法人であれば、そこに行けるに越したことはありません。
ただし就職難では大手よりも厳しかったりします。1~2人募集のところ何百人と殺到するのです。
なお、注意が必要なのは、最初からパートで入ること。
中には(半ばボランティアで?)合格者を非常勤枠で採用しようとする事務所もでてきます。
補修所や実務要件は問題ないですし、全く何もないよりマシのように見えますが、
十分な実務は経験できないかもしれません(要するにカタチだけ)。
結果として、中途半端な状態のパートでは、後々転職などで支障がでてきます。
言い換えれば、どこかで再びゼロから(新人として)やり直す必要があるということです。
個人の公認会計士事務所
仕事は税務が中心になります。
所長先生の所属先の監査法人で監査をやらせてもらえる可能性もあります(注:監査の経験としては上で述べたパートのレベルになるのであまり期待しないように)。
注意すべきは、給料が安いこと。
大手監査法人の3分の2以下になると思います。
この点も含めて、大手に行った人が羨ましく、自分が惨めになる人もいるでしょう。
その辺りを超越できない人には、個人事務所(特に税務)はお勧めできません。
税務は監査以上にシビアだからです。
嫌々仕方なしにやっていたのでは、地獄のような毎日になるかも。
逆に、将来は独立して頑張りたい、などといった目標がある人にはお勧めです。
ちなみに(会計士でない)税理士が運営する会計事務所では、実務要件を満たせるかどうかは不透明です。
確定申告時期を中心に補修所へ行かせてもらえるかどうかも懸念されます(そもそも税理士自体が会計士を良く思っていないようなので)。
(監査法人系の)コンサルティング会社
(合格者を募集している)監査法人系コンサル会社では、補修所や実務要件の心配はないでしょう。
系列グループの監査法人で監査の補助をやらせてくれるはずです(実際には要確認のこと)。
また、会計系のコンサル会社では、景気回復後に監査法人に移ることも可能と思われます。
もっとも、その場合は(監査の)実務はゼロからということになります。
なお、コンサルには向き不向きがあるうえ、結構、仕事はハードなので、そのつもりで。
監査に就くまでの腰掛のつもりなら、やめた方が良いかもしれません(上の税務も同じです)。
民間企業の経理部署
正直、あまりお勧めできないのですが、収入や生活のこともあるでしょうから、最後の最後の選択肢です。
しかも(全てではないですが)実務経験のない合格者はあまり歓迎されないのが現実です。
プライドが高そうだ、とか、資格を取ったらどうせ辞めるんだろう、などと思われがちなのです(その通りなのですが)。
忙しい時期に補修所へ通いたい、などと言おうものなら「これだから会計士は甘いんだよ!」などと言われそうです。
なので、特に民間企業の場合は補修所に通えるかを必ず確認のこと。
ここで躓くと、なかなか先へ進めません(中には補修所を途中でドロップアウトし、業界から去った人もいる)。
中小・個人事務所は辞めづらい?<コラム>:
中小・個人事務所に(フルタイムで)就職できれば、それはそれで素晴らしいことだと思います。
他方、雇う側には懸念材料があるものです。
それは(せっかく実務を教えても)修了考査に合格したら直ぐにサヨナラされること。
もちろん職業選択は自由なのですが、信義のようなものを求められるかもしれません。
結果として、大手法人へ転職しづらいといった事態もしばしば耳にします。
私見ですが、修了考査に合格して1年、つまり合計で4年も勤務すれば、お礼奉公まで果たしたことになるのではないでしょうか。
公認会計士の就職・転職も、プロのエージェントの活用がおススメです!
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管理部門・士業を幅広く扱っています。
監査法人に限らず幅広いフィールドで求人を扱っています。

最後に

以上、会計士の就職難について解説してきましたが、結論としては、
諦めなければ何とかなる!
ということです。
自分から会計士を辞めていった人は別として、
公認会計士を自分の職業とする人は、どこかで活路を見出し、会計士人生を充実させています。
なので会計士の勉強をされている方は、安心して勉強に励んでいただきたいと思います。
本気で公認会計士を目指す皆様に、ぜひオススメしたい
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