公認会計士に短期合格するための勉強法|4つの大原則と3つの間違い

電卓と赤ペンと教材のファイル

「公認会計士に短期合格できる人とそうでない人とはどう違うのだろう?」
「最短で会計士試験に合格する人の勉強法は?」

公認会計士を目指している人なら誰もが考えることだと思います。

特に今日では、殆どの受験生が専門学校に通い、それに特化したカリキュラムや教材等で勉強します。
受験生の間で入手し得る情報自体に差異はそれほどありません。

なのに現実に合格できるのは10%以下。
一体どうなっているのでしょうか。

実は短期合格できる人とそうでない人には決定的な違いがあるのです。
短期合格者は共通して、ある大原則を遵守している一方、そうでない人は受験勉強上の大きな間違いを犯しています。

そこでこの記事では、会計士試験に短期合格するための勉強法として、その大原則4つと間違い3つを解説していきます。

この記事の執筆者

・実務経験、通算20年以上
・独立までに大・中・小の3つの事務所に勤務(他に特許事務所経験あり)
・資格:公認会計士・税理士・弁理士
・独立後は会計・特許事務所を運営

目次

公認会計士に短期合格するための勉強法

図書館

大原則①:得意科目を伸ばすのではなく、苦手科目をつくらない

  • 試験科目が多様であり得意・不得意が生じやすい
  • 1科目でも40%割ると、足切りにあう可能性あり

会計士試験は相対評価です。競争に勝たなくてはなりません。

ですが、ここに受験勉強の落とし穴が、早速待ち受けています。

競争に勝とうとするあまり、点数や順位に拘るようになるのです。

それ自体は必ずしも悪いことではないのですが、
試験科目が多様なこともあり、相対的ながら得意・不得意が生じてきます。

特に勉強が進むにつれて、無意識に得意科目には力を入れる一方、苦手科目は敬遠しがちです。

しかも、40%を切ると足切りにあう可能性もでてきます。

そこで心掛けたいのが次の点です。

  • 得意科目を伸ばすのではなく、苦手科目をつくらないようにする
  • 先ずは全科目で最悪でも平均点を死守する

言い換えれば、最高の出来ではなく、最悪の状況を想定していきます。

極端に言えば、得意科目などあまり重要ではありません。
むしろ注目すべきは、苦手科目です。

ところが、点数や順位に過剰に拘ると、この大原則が崩れ、逆になってしまうのです。

なので(どうしても得意科目の点数や成績順位が気になってきますが)
攻めることより専守防衛に注力しましょう!

ズバリ言えば、平均点が取れれば上出来ですし、先ずは全科目で(最悪の状況でも)絶対にこれを下回らないようにしていきます。

得意科目を伸ばすことより遥かに困難なのがわかるでしょう。

大原則②:答練は復習が命

公認会計士の勉強で核心部分となるのが答練(アウトプット)です。

その答練では、次の2点が重要になってきます。

  • 準備不足でも答練は必ず受ける
  • 競争試験では皆ができるところを落とさない

特に勉強を始めて間もない頃は、なかなか答練まで手が回らない人も多いと思います。

良い点数を取りたいために、十分勉強が進まないうちは、答練を受ける気にならないかもしれません。
中には、答練を受けず、問題と解答解説をもらって帰る人もいるくらいです。

でも、これでは会計士合格はおぼつきません!

むしろ準備不足だからこそ、敢えて頑張って受けてみるのです。
点数が良くなくても、答練では復習がすべてだからです。

そして、その復習ですが、特に次の点をチェックします。

皆ができたところを間違えていないか

短答試験では、自分の間違えた箇所が明確になりますが、どこを間違えたのかがポイントです。

採点後の講評等で、設問ごとの詳細な正答率がわかると思いますので、これでチェックするのです。

例えば、正答率が2~30%しかないところは、それほど神経質になることはないでしょう。
他方で60%以上の正解率の設問で間違えていたら、猛省が必要ということになります。

特に皆ができるところを間違え、できないところで得点していたら、勉強法が誤っている可能性があります。

こうした復習を通じて、科目ごとの勉強法を見直してみてください。
答練は、内容の理解はもとより、勉強法の適否も教えてくれるものです。

大原則③:早い時期に過去問に取り組む

集中して弓を的に放つ

過去問にはできるだけ早い段階で取り組みます。

できれば入門講座が一通り終わった段階でやってみる(目を通してみる)ことをお勧めします。

ゴールとともに自分のすべきことが明確になりますつまり短期合格に近づきます)。

具体的なポイントは次の通り。

  • 頻出論点を知り、勉強に強弱をつける
  • 出題形式・パターンを知る
  • 設問のレベルを知る~皆のできるところを落とさない~

どの箇所がどのように問われるかを知ることは、受験勉強では大切です。
先の答練受講が己を知ることなら、過去問に触れることは敵を知ることに相当します。

この両者がそろって受験戦略が立てられるというもの。

試験にあまり出ない箇所や、皆ができない箇所に時間や労力をつぎ込むのは、無駄というより不合格まっしぐら、といってよいでしょう。

つまり過去問利用の最大の狙いは、ズバリ勝つための選択と集中です。
まさに短期合格のカギです。

間違った過去問の利用法:
「過去問は本試験であり、実力がついてから取り組むもの」と思っている人が実に多いです。演習や模試としてとっておこうとする人もいます。
でもそれって大間違い。早ければ早いほど自信が芽生えますし、一歩早く他者より目標にグンと近づけます。
また、できなくて当然、のつもりで早いうちに取り組んだ方が精神的にも楽なはずです。

大原則④:模試が終わってからが本当の勝負!

  • 直前3週間のスケジューリングが重要(試験当日から逆算)
  • 知識をできる限り詰め込む(ただし新しいコトには手をつけないこと!)
  • 試験本番でのサプライズ対策:特に白紙は絶対避ける

皆さん、日々の答練や模試が大変で、どうしても目標が近視眼的になりがちです。
答練や模試のための勉強(予備校のための勉強)になってしまっている人もいるようです。

ですが、これではマズイ!

あくまでゴールは会計士本試験です。

そこで注意すべきは、直前期(特に模試が終わった後から本番まで)のスケジューリング。
試験本番に実力のピークをもっていきます。

これができていないと、最後の詰めが甘く本番で失敗してしまいます。
暗記が不十分だったり、基礎事項の確認に漏れがあったリ、計算科目の勘が鈍ったりしてしまうのです。

また、模試の成績が良かった人の中にいるのですが、気が緩んで一気に失速してしまう残念な受験生もいます。
これなら、模試で多少失敗してしまった方がマシといえます(緊張感を最後まで保てるからです)。

特に試験直前期に本試験直前3週間どれだけ踏ん張れるか、が最終的な勝敗を決めますし
この3週間で大逆転が可能です!

試験本番でのサプライズ対策:
とにかく本番では何が起こるかわかりません。
それこそアッと驚くような問題が出題され得るのです。
ですが、そんな状況でもしぶとく関連することを何か書いていくことが大切です。
頭と一緒に答案用紙も真っ白になった人からまた来年となります(答練を受けていなかったり、普段から本番のつもりで受けていないと、そうなります)。
まさに「公認会計士に絶対なってやる!」の意気込みが問われるところです。

短期合格を阻む3つの間違い

ちょっと待って!とストップをかける

ノートを作成する~間違ったインプット~

殆どの受験生が必ずと言ってよいほどやってしまう間違ったインプットです。

例えば財務会計や企業法等の分厚いテキストを写したり、まとめたりすること。

特に入門の段階では、勉強の証(理解の証?)のようなものが欲しくて、ついついやってしまうのです。
しかも勉強した気になってくるので厄介です。

でも、これって全くの時間の無駄

ノート作りなど勉強ではなく、ただの作業です。
(後述する直前期のまとめノートを除き)入門生の作るノートなど全く役に立ちません

むしろ(ダラダラと書写をする時間があったら)テキストを何度も読み返したり、短答問題集を繰り返したりします。
その方が理解が進むし、頭にも定着していくはずです。

なお、具体的な記憶作業自体は、通勤時間等のスキマ時間を使って、これまた繰り返していきます(机上でやるものではありません)。

受験競争というものは実にうまく働いていて、この段階で早速合否が分かれていきます(この無意味な作業をやらず、テキストを読み込んでいる一部の受験生が受験者上位10%に入ってくる、というわけです)。

<唯一の例外>直前期のまとめノートの作成(参考):
普段の勉強でノートを作るべきではありません。
ですがひとつ例外があります。
それが論文直前期に作成するまとめノート(チェックリスト)です。最初で最後のノート作りです。

本番を見据えながら「このノート(リスト)の項目さえ見れば、基礎事項やキーワード等がサッと頭に浮かんでくる」といえるくらいのシートを作っておきます。勉強の成果物と言ってよいでしょう。

形式的には1科目A4で1~2枚以内に収まるものです。
30分ぐらいで(試験直前に)サッと見直せるようにしておくのです(最終的にはこのくらいまでに仕上げておかなくてはいけません)。

自分の答案と向き合わない(特に論文)

復習というと、多くの人が、解答解説を読んだり、問題を解き直したりします。
それはそれで大切ですが、それだけでは答練を受けた意味が半減してしまいます。

実は答練の意味は、返却されてきた自分の答案にあります。

多くの受験生は一応答練や模試を受けるのですが、受けても自分の答案と向き合わない人が実に多い!。
何点取れたかに一喜一憂して終わりです(点数や順位に拘ることの弊害と言ってよい)。

ですが、これでは答練の効果半減です。

なのでお願いです。

返却された自分の答案を(だまされたと思って)一度、読み返してみてください。

確かに点数の悪かった答案を読むと、自分の恥部がさらけ出されるような(嫌な)気分に陥るものです(なので点数の悪い答案は、通常ほったらかしにされる)。

ですが、
その返却答案があなたを成長させる(しかも、あなただけの)最高の教材です。

答練の点数もさることながら、ご自身(の答案)と向き合うことに大きな意味があるといえます。

他方、これが真にできる人はごくわずか。
会計士試験が難しいのは、(試験自体というより)この姿勢を貫くことの難しさと言えるでしょう。

様々な教材に手を広げたり、資料集めに奔走する~情報戦の罠~

受験勉強は、ある意味、不安に負けそうになる自分との戦いです。

確かに何が出題されるかわかりませんし、自分だけ知らなかったらどうしよう、なんて心配も湧いてきます。

そんな中にあっては、受験競争とは情報戦である、といった言葉も飛び交います。

例えば「△△講師の~講座は受験生なら皆受けて当然!」とか「財務会計論の○○は××予備校のものじゃないとダメだ」なんて具合です。

さらに直前期になるとさらに酷くなり、
あれが出るだの、これは出ないだの、本当にいろいろな情報に振り回されます。

あちらこちらの予備校の答練や模試を集めることに終始する人すら出てきます。

結果として、一つの教材にじっくりと向き合うことが疎かになりがちです。

実質的な内容で予備校間に大きな差異はありません(表現形式の多少の違いに過ぎないのです)。
また各予備校が予想するヤマの当たり外れで合否が決まることもありません。

特に短期合格を狙う人には、いろいろな教材に手を広げたり、予備校ホッピングをする余裕はないはず。

むしろコワいのは、あれこれと情報収集をしている間に、一つの教材に集中している他の受験生に差をつけられていることです。

以上が短期合格を阻む間違い3つです。
学力以前の勉強法の段階で、既に勝負がついているのがお分かりいただけると思います。

これらを意識して実践するだけでも上位10%の仲間入りです!

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公認会計士の科目別勉強法

地図と方位磁針

先ず大雑把に概要と指針を示しておきます(選択科目は経営学を前提とします)。

  • 財務会計論(理論)と企業法は勉強に比例して伸びやすい(コスパ大)
  • 特に財務会計論は配点も高く得意にすべし(ただし簿記は時間がかかる)
  • 管理会計論は計算と理論をリンクして
  • 監査論と租税法は守りの科目(平均点プラスαを死守する)
  • 経営学は難易度が低く、これもコスパ大

🍀財務会計論

🍀管理会計論

🍀企業法

🍀租税法

最後に

皆でワインで乾杯!

公認会計士の勉強法について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。

実際、会計士の勉強では予備校等で様々な教材・答練等をこなしていかなければなりません。
遠く険しい道のりです。

ですが大切なことを一言でまとめるならば、

常にゴール(本試験合格)を見据えること

ではないでしょうか。
すべてはこの一瞬のためにあるのです。

このことを念頭にもう一度勉強法を振り返ってみていただきたいと思います。

最後になりましたが、受験生の皆様が一日でも早く公認会計士試験に合格されることを心より願っています。

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