「50歳から公認会計士を目指す」
このテーマに対してポジティブな返事はなかなか期待しづらいものです。
まず会計士試験自体が大変ですし、就職でも合格者の事例があまり見当たりません。
他方で、実際には毎年6~700名の方が挑戦しています。
どなたも並々ならぬ決意をもって、真摯に取り組まれているはずです。
そこでここでは希望的観測を極力排除しつつも、50歳から公認会計士を目指すことにつき、その可能性を考えてみたいと思います。
50歳以上の合格状況を会計士試験のデータで確認する

令和4年の年齢別合格状況を掲載します(出典:公認会計士・監査審査会「令和4年公認会計士試験合格者調」より)。

上の合格者調によると、50代以上の願書提出者が690名なのに対して、合格者は2名です(全体の合格率が7.7%なのに対して、50代以上のそれは合格率0.3%)。
全合格者の中の割合は約0.14%となっています。
データ的にはかろうじてゼロではない、といったところです。
数字をざっと見ただけでも、30代後半から合格者数が減少しているのがわかると思います。
50歳以上で会計士を目指すことは未知への挑戦

会計士試験の大変さを具体的に知る
50代以上の合格状況は先の通りですが、ここではもう少し細かく見てみましょう。
先のデータを基に、短答合格率と論文合格率を下記の表で示してみます(注:短答合格率については、論文受験者を短答合格者とみなして(B)/(A)を計算しています)。
年代区分 | 短答合格率 | 論文合格率 |
---|---|---|
50代前半 | 18.8 | 1.9 |
50代後半 | 18.3 | 2.9 |
60代前半 | 21.3 | 0.0 |
60代後半以上 | 21.4 | 0.0 |
全体 | 21.6 | 35.8 |
便宜的な計算ではありますが、結構、意外なことがわかります。
会計士試験は短答がかなり大変なイメージですが、その短答では50代以上の方も健闘しているのです(約20%の合格率を維持している!)。
対して論文試験では一転して状況が厳しくなっています。
短答では、短答試験向けの問題集(選択式問題集)を繰り返し読み込んでいけば、ある程度点数は取れるようになってきます。
対して、論文はかなり複雑で、短答のようにはいきません。
専門用語や言い回しも相当覚えなければなりませんし、計算分野はさらに複雑になります(特に暗記は年齢的にかなりキツイと思う)。
また、論文の答案作成には、ある種の解答技術のようなものが求められます(その対策として通常、受験生は答案練習を毎日のように積んでいきます)。
これらの学習は、特に仕事を抱えているとなると、時間的に、そして体力的にさらに厳しくなるといえるでしょう。
まずは簿記の勉強とともに情報収集を
会計士の勉強では最初に簿記を学習します。
各試験科目のベースにもなってくるものです。
そこで先ずは簿記3級、2級を独学でやってみることをお勧めします(簿記検定自体を受ける必要はありません)。
また併せて会計士試験についての情報を、ぜひネット等で収集してみてください。
特に注意したいのが勉強法について。
本格的に会計士の勉強をするにあたっては、受験予備校の活用が不可欠です(独学での合格は殆ど不可能といってよい)。
ただし講義については通信講座やオンライン講座で十分です。

実務要件を満たせる就職先が見つかるか
試験に合格したとして、次に課題となってくるのが就職の問題です。
特に会計士資格の最終的な取得には、会計士試験に合格しただけでは足りず、
その後の実務補修所の修了と一定の実務経験、そして修了考査の合格が求められます(最終的に会計士資格が取得できるのは、会計士試験合格後3年後です)。
そのため、多くの合格者が大手を中心とする監査法人に就職します。
もし皆様が、
例えば上場企業の経理部署で陣頭指揮を執っていた、とか、ベンチャー等でCFO(最高財務責任者)を歴任していた、などといった場合は、大手監査法人に就職できる可能性もゼロではないと思います(注:実務経験は会計士試験合格の前でも可)。
ですが、そうした経歴に関するアピール材料が乏しい場合、大手監査法人への就職は相当厳しくなってきます。
そこで、可能性があるとしたら、
- 中小監査法人
- 個人の公認会計士事務所
が考えられます。
他方、先ほどのデータの通り、合格者数自体が極めて少ないのが現状です。
また、仮に中小監査法人に就職できたとしても、パートになる可能性があり、収入面も含めて不安要素を抱えることになるかもしれません。
そこで、私見ですが、先々の方向性として考えられるのは税理士として独立することではないかと思います(この場合の選択肢は個人の公認会計士事務所です)。
ただしその場合なら最初から税理士事務所に就職して、働きながら税理士資格の取得を目指した方が早道ともいえます。
もっとも、人生観や資格に対する考え方は人それぞれなので
会計士試験に挑戦すること自体を目標とする人もいるかもしれません。
なので、50代以上での会計士挑戦は、全く未知の領域ではありますが、
(経済面での余裕と周囲の理解があることを前提に)最終的には皆様の決断次第になるかと思います。
軽視できない!50代以上のもう一つの懸念材料:
それは健康事情についてです。
40代までは気にしない人も多いかと思いますが、50代にもなると、この問題を実感するようになるものです。
そこで、結論としては年に一度は健診を必ず受けるようにしていただきたいと思います。
私の周囲でも、きちんと受けてる人と、全く受診していない人との差が極端な気がします(特に自営や非常勤の会計士)。
冗談抜きで、突然、訃報が来たりするのです。
所長が突然いなくなり、「至急、所長求む!」なんていう具合です。
クライアントをはじめ周囲に迷惑をかけてしまうこともあり得ます。
特に自営や小規模事務所の場合、組織が自分の健康を管理してくれません。


50歳から公認会計士の夢を実現したケース

極めて例外的なケースなので迷ったのですが、
とても印象的だったので、あくまで参考として当時の様子を簡単に紹介します。
50代で会計士試験に合格された方のエピソードです。
当時は、大変な就職難でした。
若い人でさえ就職口が無く、登録要件である実務経験を積めません。試験に合格しても公認会計士になれない非常事態です。
一方、その方は、長い間、無職で受験勉強に専念されてきたようです。
コネや人脈等も一切なく、あるものといったら、健康な体と一枚の合格証書だけ、とのこと。
表情も硬く気難しそうな方でした。
当時若造だった私は「このオッサン、これからどうすんだろ?」などと浅はかにも思ってしまったものです。
ところが、その方は3年後、最終試験を経て正式に公認会計士資格を取得しました。
その後、直ちに独立し、会計関連の調査・研究や執筆活動等に精力的に取り組みながら、自分の事務所を軌道に乗せていったのです。
何もない状況からよくここまで、と感心したものです。
実は、その方の場合、合格証書の他に、もう一つ大切なものがありました。
とにかく熱意が凄かった!
常にJICPAジャーナル(当時、業界機関誌はこういうタイトルだった)や専門書籍をかかえ、会計士補の頃から熱心に会計等の調査・研究に取り組んでおられました。
年下の(補修所の)講師達と真剣にディスカッションする姿もはっきり覚えています。
例外と言われればそれまでですが、あの熱意と達観は、顧客に安心感を与えるような気がします。
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最後に

50歳から公認会計士を目指すことについて解説してきました。
結論としては、受験から就業まで、どれをとっても容易なことではありませんし、何ら保証もありません。
むしろ結果は厳しいものになりそうです。
他方、会計士の試験科目は興味深いものが多く、勉強しておいて損のないものばかりです。
また何より全力で取り組んだことは(結果はどうあれ)後悔はしないものです。
ですので、会計士への挑戦を決意された方は、お体に気を付けてぜひ頑張ってみてください。
ご健勝とご発展をお祈りしています。
