会計事務所の転職で後悔する理由&転職を成功させるコツを徹底解説!

会計事務所には本当にいろいろなタイプの事務所が存在します。
他方、事務所転職を考えている人にとっては様々な懸念や疑問が湧いてくるでしょう。
例えば

  • 会計事務所未経験なので心配
  • 前の事務所では忙しく税理士試験の勉強が殆どできなかった
  • 事務所の転職を成功させるにはどうすればいいの?

など。

特に、未経験者の中には、あまりよく調べないまま、適当に(?)事務所に入所してしまい、あとで後悔する人が少なくありません。

ですが、いずれにしても転職の失敗は絶対避けたいもの。

そこでこの記事では、会計事務所で後悔する理由と転職を成功さえるコツについて徹底解説していきます。

1年後「あの時の転職があったからこそ、今の自分がある!」
こんな転職を実現したい方はぜひ本記事を参考にしてみてください。

この記事の執筆者

略歴:特許事務所→公認会計士→監査法人・会計士事務所→弁理士→独立(会計事務所・特許事務所経営)

特許事務所を経営する父親の長男に生まれる。
そうした背景もあって学生の頃から知財に関与していたが、ある日、心機一転、会計業界に飛び込む。
その後、父親の健康事情から家業を承継するとともに会計事務所を開業。
長期にわたり複数の士業に携わりながら、様々な事務所や実務を経験する。

目次

会計事務所の転職で後悔する理由

実は会計事務所の転職で後悔する理由は、だいたい決まっています。
ネットでの情報も殆ど似たようなものと言ってよいでしょう。

そこで、ここではその典型的な理由を確認するとともに、筆者の経験を踏まえて分析・コメントをしていきます。

中には(厳しい言い方になりますが)転職の失敗の原因は、会計事務所側にあるというより、転職活動の準備不足ということもあったりします。

仕事が忙しく勉強と両立できない

一般的な会計事務所での繁忙期は、申告や決算の多い1~3月および5月です。

他方、これ以外の時期は比較的余裕が持てるのが通常です。

そうでない場合としては、

  • 資産税系の事務所や国際税務を扱っている事務所(BIG4)
  • 生産性の低い薄利多売的な事務所
  • 金融商品や保険商品を扱っている事務所(営業ノルマを課している事務所)
  • 所長が(過度に)やり手の事務所

などがあるでしょう。

全てではないですが、いわゆるブラッ○事務所も含まれてきます。

🍀分析・コメント:

仕事の忙しさや勉強との両立の可否は(100%完全でないものの)事前に把握することが可能です。
実際「ウチは税理士受験に特に配慮しない」と明言する事務所もありました。

注意すべきは、表向きは都合の良い話だけを並べ、入社後に「こんなはずではなかった」となること。

そこで具体的には、面接の際の質問の仕方を工夫したり、転職エージェントを活用したりしていきます(後述します)。

給与が安い

上でも挙げた薄利多売の事務所にありがちです。
付加価値の低い仕事を量で回そうとすると、そうなるのですが、結果として、年中忙しく、勉強時間も取りづらいため、最初の問題点をも抱えることになります。

また、所長が昔の価値観を抱いていると給与が安く、昇給もあまり期待できなかったりします(60歳以上の高齢者に多い)。
例えば「カネもらって、勉強させてもらっているんだぞ!」「昇給してほしければ上客を取ってこい!」といった感じでしょうか。

税理士は、試験が難しい一方、高給取りのイメージがあるため、しっかりリサーチしておかないと、業界未経験者は失望されるかもしれません。

🍀分析・コメント:

一見理不尽なようですが、一理あったりします。
特に未経験者でかつ無資格者は初任給が低いのは当然です(年収でいえば初任給は3~400万ほどになります)。
税理士の世界は年齢ではなく、実力主義です。

また、給与や待遇については事前に明確になりますし、求職者側がしっかりと確認しておくべき事項となります。

なので、この給与(特に初任給)について、入社後「こんなはずではなかった」というのは、あまり考えられないのではないでしょうか。

これに対して問題になってくるのは(例えば2年後、3年後など)の昇給についてです。

良し悪しは別として、個人事務所を中心に初任給はもちろん昇給も所長のさじ加減で決まることが多いです。

資格があって、かつ経験と実力があるが、それに見合う給与が得られていない、と感じるならば、
その時こそ、転職(もしくは独立)を決意すべきと言えます。

研修や指導体制がなく放置

全く教えてもらえず、放置状態の一方、仕事上トラブル続き…

これではやってられないでしょう。ブラッ○事務所の典型です。

また、やり手と呼ばれる所長の中には、「盗んで学べ」調の人がいるのでこれまた注意が必要です。

🍀分析・コメント:

研修体制についても、事前に確認することができる事項です。

注意したいのは、研修制度をうたっていても、それが形式的なものではなく、実質的な指導になっていること。
仕事をしていく中で、個別具体的に指導を受けられなければ意味がありません。

ただし、手取り足取り教えてもらうことばかり考えない方がよいでしょう(特に未経験者)。
まずはできる限り自分で調べたり考えたりする姿勢が大切です。

例えば法人税の申告書の書き方。
特に別表5などは税理士試験の勉強をしていても結構難しかったりします(連結会計並みに複雑!)。
今日では税務申告ソフトが基本的に自動でやってくれますが、自分でも書けるようになっておかなければなりません。

確かに最初は???となりますが、書き方本等が色々と出回っているので、まずはじっくり調べてみましょう。

常に自分でも調べて考える

プロの実務家になるためのイロハのイです。

事務所内での人間関係

実際に仕事をしていると、分からないことや思わぬトラブルに遭遇することがあります。
こんなときは、一人で抱え込まず所長や他の先輩スタッフに確認したり、相談したりしていきます。

ところが、これを阻んでしまうのが人間関係の悪化によるコミュニケーションの欠如。
会計事務所というと、独りで黙々と事務作業をしているイメージですが、それは違うということです。

実際、入社してみて後悔する大きな理由の一つと言えるでしょう。

🍀分析・コメント:

これは、なかなか事前には分かりづらい。
質問しても「ウチの事務所では人間関係は悪いですよ!」などと答える事務所はありません。
エージェントもわざわざ人間関係の悪い事務所を紹介したりはしないでしょう。

また、人間関係は、相手との相性があるほか(申し上げづらいのですが)本人に非があることも皆無ではなかったりします。

ただし、ある程度、事務所の雰囲気や様子を把握したりすることは可能です。
そのうえで事務所が自分に合いそうか判断することになります。

後述しますが、事務所のHPをチェックするほか、所長やスタッフと話してみるとよいでしょう。
質問の仕方によっては、事務所の雰囲気やメンバーの人柄が把握できたりするものです。

クライアントへの対応に悩む

人間関係と並んで悩ましいのが、クライアント関連の問題です(クライアントの質は事務所によって本当に幅があります!)。

本来会計事務所がやるべきこと以外のことを求めてきたり、質問したりしてくるのです。
また、中には、必要な書類を然るべき時期までに用意してくれない、など、非協力的なこともあるかもしれません。

更によくあるケースとしては、繁忙期において必要以上に頻繁に問い合わせてくること。
しかもそういう顧客は、同じようなことを繰り返しますので、本当に悩まされます。

🍀分析・コメント:

クライアント対応が、実は最も悩ましい問題と言えるでしょう。
しかも、これまた事前に把握しづらいものです。

まず、ここで考えられることとしては、本当に顧客の質が悪いことがあります。

この場合顧客の担当を変えてもらうか、場合によっては転職を検討した方がよいかもしれません。
そもそもブラッ○な客はブラッ○事務所に集まることも十分あり得ます。

他方で、自分の適性や仕事の姿勢についても注意が必要です。
特に顧客ファーストの視点を忘れると(自分の事務作業ばかりに目が行くと)、顧客の問い合わせなどがウザく感じることもあったりします。

意外と指摘されないことですが、他人のおカネを預かるというのはかなり大変なこと。
特に人は自分の懐のことになると過剰に反応したりすることがあるのです。

なので、あまり悩むようでしたら、第三者に自分の適性を含め相談してみましょう。

コネ入社はできるだけ避ける~これも後悔のもと!~

結論として、コネを通じて会計事務所に入社するのは慎重にすべきです。

やはり事務所側(所長)としても特別視せざるを得ない面がある反面、それが負担となりマイナス面となって表れることがあるからです。

例えば、雇う側からすれば過度に我慢を強いれら、いろいろなところで不満が蓄積されていくこともあったりします。

特に仕事していれば、多かれ少なかれ軋轢なり摩擦なりは生じてくるもの。

場合によってはドライに割り切らなくてはならないところもあるのですが、コネの場合は変にしこりが残ったりします。

そして何より心配なのが、こうした不満が一気に爆発してしまうこと。
最悪、紹介元も含め人間関係が一気に崩れてしまうことになりかねません。

筆者の経験上、それまで私的な交流のあった人たちが、雇用関係になって上手くいった、という話をあまり聞きません(もってせいぜい1年から1年半ぐらいでしょうか)。

筆者も、クライアントの紹介は人脈等を通じて受けますが、従業員スタッフを巡る縁故入社は一律にお断りしてきました。

会計事務所の転職を成功させるコツ

自己の適性や方向性は大丈夫か

未経験者について

業界未経験者がまずやるべきことは、業界や税理士業についてしっかり情報を得ておくことです。

上でも述べた通り、この業界は他人のおカネを扱う関係上、かなりシビアな側面を伴います。
やりがいもあるのですが、適性も厳しく問われるということです。

ちなみに、筆者の個人的感想ですが、公認会計士、税理士、弁理士の中で、こと対人関係が一番厳しく感じたのは税理士業務でした。

やってみないと分からないことも、もちろんありますが、良い面ばかりにとらわれず、ネガティブな面も含めて実情もしっかり把握しておきましょう。
ネット等を通じて様々な情報が得られるはずです。

経験者について

経験者についてまず注意すべきは、あなたの転職の目的や意図についてです。
例えば

  • 更なる専門分野(資産税や国際税務など)にステップアップしたい
  • 前の事務所がブラッ○だったのでやり直したい
  • 所長と喧嘩(?)になったので、とりあえず転職したい

などがあるでしょう。

最初からしっかりキャリア設計をしたうえで業界入りしたのであれば、あまり問題ないでしょう(1番目のケースなど)。

そうではなく、何らかのネガティブな理由から転職する場合は慎重に対応したいものです(2番目、3番目のケースなど)。

当然ながら、これまでの実務経験を面接等で聞かれますし、現状分析(何がいけなかったのか)ができていないまま単に転職しようとしても、同じことの繰り返しとなってしまうかもしれません。
場合によっては自身の適性を含め、キャリアを変える必要もでてきます。

また、就職先の問題というより就職・転職活動のやり方自体の問題ということもあり得ます。

いずれにしても、現状把握も含め第三者(転職エージェントなど)のアドバイスを受けられることをオススメします。

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会計事務所ホームページをチェックする

今日では多くの事務所がHPを解説しています。
主として顧客向けのものだったり、営業ツールの一環だったりしますが、転職活動でも結構役立ちます。

主なチェック項目は

  • 所長の年齢や経歴等のプロフィール
  • 所長のブログ
  • 事務所所員の構成(男女比や年齢など)
  • 求人情報
  • 事務所の料金表(過度に安い値段を提示してたら要注意)

まずチェックしたいのが、所長の年齢、経歴、そして人柄です。
特に所長がHPにおいてブログを書いていたら、そこに人柄や事務所経営に対する姿勢などが表れていますので、しっかり読んでおきます。

また事務所所員の構成などがあれば、参考にするとよいでしょう。
所員のプロフィールやコメントが掲載されていれば、スタッフの定着がそれなりに安定していると言えそうです。

あと、顧客向けの料金表なども(あれば)要チェックです。
あなたの給与はそこから支払われるので、その原資が低ければ、それだけ…ということです。

事務所を見学させてもらう

今後、自分がお世話になるかもしれない事務所なので、現場となる職場は事前に見学しておきたいものです。

やはり間接的な情報と実際に見た印象とは違うからです。

特に注意してみておく点が、従業員スタッフの様子です。
また、彼らと直接、懇談等させてもらえれば理想的です。
その際、何か聞きたいことがあったら、ぜひ質問してみましょう(残業の実態や指導体制など)。

こうした見学や質問等を気持ちよく受け付けてくれるなら、それだけでもプラス要因と言えます。

なお、所長や事務所の様子を把握する際の質問については次に深堀してみたいと思います。

所長やスタッフに質問してみよう

今日では、求職者側が質問することについて消極的な事務所は少ないと思います。

また、質問を快く受け付けてくれる・答えてくれるか否かで事務所の様子がある程度見えてくるものです。

特に質問によっては所長の人柄が見えてくるので、コミュニケーションの一環として互いを知る貴重な機会とも言えます。

まず最初に必ずしておくべき質問です(質問というより確認事項です)。

それは、有給休暇や試験休暇をもらえるか、そして専門学校(あるいは夜間の大学院等)へ通うことを許してもらえるかどうか、についてです。

次は所長の人柄を見るための質問となります。(注:業界未経験者向けであって、経験者はやめた方がよい。今まで何も学んできていない、と思われてしまうかも)

  • 優秀な税理士とはどんな人?
  • そうなるためには、具体的にどのようなことを心掛ければよい?
  • クライアントに信頼されるには?

など

話を聞いてみて「この事務所の所長のようになりたい」などポジティブな印象を得られたら結構オススメと言えるでしょう。
他方、やたら苦労話ばかり聞かされたり、価値観を押し付けられるような感じでしたら慎重にした方がよいかもしれません。

そして従業員スタッフに対する質問です。

  • 仕事で大変なことは何か?
  • クライアントのことで苦労したことはどんなこと?
  • その時どのように対処されたか?
  • 退社時間は何時ごろ?

失礼にならない範囲で多少ネガティブな質問をしてみるとよいでしょう。

難しいところもありますが、ざっくばらんに、かつポジティブな返事が得られたらOKです。
逆に、所長の顔色を窺っているようなら要注意。いわゆるブラッ○の要素が潜んでいるかもしれません。

とにかく避けたいのが、実態がよくわからないまま、なんとなく(勢いで?)入ってしまうこと。

それなら最初からネガティブな内容だろうが「ウチの事務所は○○○です」とはっきり言ってもらった方がよいに決まっています。

転職エージェントの活用とそのメリット

やはり最後に決め手となるのが転職エージェントの活用です。

今日では、これなくしては転職の成功はないと言っても過言ではありません。

今日のエージェントは、単に会計事務所についての情報提供だけではなく、
各人の適性を客観的に踏まえたうえで、それぞれに合った事務所を紹介してくれます。

特にメリットとしては

  • 膨大な求人情報を有している
  • 自分の希望や条件に合った案件を紹介してくれる
  • 履歴書の書き方や面接対策などについてアドバイスをもらえる
  • 報酬交渉をしてもらえる
  • 不安や疑問を相談できる

などです。
個人単独で活動するのとは成功の度合いが全く違うのがわかります。

特に自分の適性などは自分で把握するのが難しかったりするので意見を聞いてみるとよいでしょう。

更に、事務所に直接聞きづらいことやリクエストしづらいことも尋ねたり相談できたりするのがメリットです。

一般的な確認事項は次の通りです。

  • 給与及び昇給
  • 研修・指導体制
  • 試験休暇・有給休暇がどれくらいとれるか
  • 繁忙期及びそれ以外の時期のおよその残業時間
  • 従業員の平均年齢
  • 平均在職年数
  • 離職率

なお、転職エージェントには税理士の転職に強いヒュープロがオススメです。
税理士法人や会計事務所のネットワークが広く、求人数も業界最大級です。

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まとめ

最後に転職で後悔しないためのコツをまとめておきます。

  • 自分の適性を把握する
  • 会計事務所のホームページをチェックする
  • 事務所を見学させてもらう
  • 所長やスタッフに質問してみる
  • 転職エージェントを活用する
  • コネ入社は避ける

以上、いろいろと述べてきましたが、
希望がすべて叶う完璧な事務所(100%ホワイトな事務所)などまず存在しませんし、入社後もすべて思い通りにいくとは限りません。
また、自分独りで情報収集したり、判断したりするには限界があったりするものです。

なので、やはりプロの第三者からの情報や意見は非常に大切と言えるでしょう。
ぜひ、間違いのない転職を実現するためにも、税理士や会計事務所に強い転職エージェントの活用をオススメします。

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